廃線跡に架かる「信濃の橋百選」久保洞水路橋と木曽路巡り
約6~7時間
かの文豪・島崎藤村は、その著書『夜明け前』にて自身の出生地でもある木曽を「木曽路はすべて山の中である」と綴っています。
木曽川沿いのわずかな平坦地を縫って中山道宿場町を繋ぐ街道沿線には、厳しい環境下で農業を営んできた、木曽地域の希少な農業資産が数多く眠っています。
なかでも南木曽町の「久保洞水路橋」は「信濃の橋百選」にも選定されており、廃線跡に佇む眼鏡橋を想わせるその姿は、土木遺産としての価値も十分です。
また、観光地としても人気の高い妻籠宿には石積みの「地蔵沢水路」が築造された当時のまま管理され、いまも人々の暮らしに利用されています。
また、この地は日本固有の在来馬である「木曽馬」の生産地としても名高く、古くから農耕馬として地域の農家に親しまれ大切にされてきました。昭和40年代には農耕馬としての需要がなくなったため、一時は絶滅の危機もありましたが、現在は木曽馬保存会が中心となった保護活動が行われています。開田高原の「木曽馬の里」は、この貴重な木曽馬を見学することができるだけなく、乗馬体験もできる施設となっています。
農業には厳しい自然環境にある木曽地域ですが、昨今はその冷涼な気候を活かして栽培される「御嶽はくさい」が、高級食材として高値で取引きされるようになっています。
SPOT
妻籠宿(地蔵沢水路)
久保洞水路橋
「信濃の橋百選」にも選定されている久保洞水路橋は、明治42年に築造された石造り(地元産花崗岩使用)の多連跨線水路アーチ橋(線路を跨ぐ水路橋)で、長さは約20m、幅2m、高さは10mに及びます。
昭和48年に鉄道の複線化に伴い、線路が別ルートで整備されましたが、眼鏡橋を想わせるその造りは、アーチの下を列車が通っていたという証と共に、建設から百余年の歳月を経た現在も当時の面影を色濃く残したまま保存されています。
桃介橋
別名「桃の橋」と呼ばれ、大正11年9月に完成。木曽川の水力発電開発に力を注いだ大同電力(福沢桃介社長)が読書発電所建設の資材運搬路として架けた全長247メートルの吊橋です。平成5年に復元され平成6年近代化遺産に指定されています。
道の駅三岳
木曽馬の里
あやめ公園池(菅大平ため池)
あやめ公園池(菅大平温水ため池)
標高1,000mの高冷地に造られた農業用ため池で、ため池名の由来でもある池畔一帯のアヤメが6月から7月にかけて一面に咲き誇ります。高原の冷涼で静寂な空気の中、ため池の水鏡に映る四季折々の景色は、ここを訪れる観光客の目を楽しませてくれます。農林水産省「ため池百選」に選定されています。
道の駅木曽川源流の里きそむら 「げんき屋」
木祖村の新鮮な野菜や山菜、伝統工芸品の「お六櫛」、木曽谷の銘酒などの特産品を直売しています。また、店内の「食事処げんき」では、木曽地域で育った「木曽牛」料理や、木祖村の蕎麦粉で打った「手打ち蕎麦」、名物「山賊定食」などが味わえます。